古過ぎた信念

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■円環少女(6) 太陽がくだけるとき/長谷 敏司
http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=200612000039

恐ろしいほどの傑作。その一言に尽きる。
(学生運動という)過去にしがみ付く者と今を生きる者の対比。絶えず変化する利害関係。仁vs王子護、仁vs東郷といったかつての師弟対決…などといっためまぐるしい群像劇が展開される上、1発の核を抑える筈だった話が “少なくとも” 2回は爆発していたなど本筋を捻る捻る。1発出すだけで大騒ぎなのに、そんな訳ないだろうとさも当然のように複数になってたあたりは戦慄を覚えましたね…最初から最期まで見所だらけで前巻をも越える壮絶な密度でございました。これ本当にラノベで良かったんだろうか。

また今巻ではいよいよエレオノールが際立って来た感があります。バベル編では絶大なる敵役として立ちはだかるも聖騎士団唯一の生き残りゆえに壮絶な仲間の最期を見せられ、グレン編では生き残ったがために協会に激しく長い尋問を強要され。廃人にこそならずとも何とか耐えてるといった体でストーリー展開上大きな活躍はなかったのですが、地下戦争編終わってみればもう立派に主人公格ですよ。作中のもうひとつの柱としてこれだけ確立するとはなあ。彼女が信じる道の先はこれからもひどく複雑で困難だろうけど、せめてその真っ直ぐな瞳が、彼女が信じたものを見届けるようであって欲しいとは願うところです。
一方本来の主人公・仁はブレ過ぎで、行動理由ですら後付けな有様。メイゼルを助けるためだけの決断がいつの間にか地下都市の子供も守り切る事になっている。「お前最初からそうじゃなかったろ」とは作中でも他人に突っ込まれていますね。でもまあやり抜くだけの覚悟があるので結果オーライってところでしょうか。ウチも割と理由後付け人間なので憎めないな。

この地下戦争編がもたらした人物関係の変化はあまりに大きく、もはや決して最初の様には戻らない。巻を追うごとに「どーすんだこの先」感が増すこのシリーズもまだまだ折り返し地点であります。後先考えない容赦無い展開はBEATLESSより凄いかも知れない。
続きは気になるけどまた来年に。


■スカイ・ワールド3/瀬尾 つかさ
http://www.fujimishobo.co.jp/sp/201208skyworld/

昨今よくあるネトゲものな上に展開が遅いので終わる前に打ち切られやしないか心配ですが、一応再版かかるくらいには出ているそうなので、何とかもう少しは続いてくれそうなそんなシリーズも3巻目。今回はサブクラス(FF11でいうところのサポジョブ)が2巻にて解禁された後のお話です。
前巻まではメインクラスしか存在せずクラス変更も不可、選択可能なメインクラスは全て設定として公開済とガチガチに枠が固められていたんですが、サブクラス解禁後はサブ専用クラスや1回しか発生しないクエストでの報酬として得られるクラス、またメイン・サブに同じクラスを設定する事も可能など、後からいくらでも広げる事が可能なシステムに様変わりしましたね。戦闘だけでなく能力行使全般において幅が出て来たのは良い変化だと思います。

それと今巻は互いが互いを信じる絆について、やっと主人公が向き合ってくれましたな。もともと人間不信なところがありそのせいで色々と問題が起きていて、今巻を機に人間的に成長したとは思うので次巻以降は危なくなっても違う行動を見せてくれると思いたいですね。一方ゲーム初心者だったかすみさんはもう放っておいても育っていくだけの素養が出来た感じがあります。言われなくても誰よりも早く動いてるよなあ。

…とそれっぽい感想を書いてみるも、絶賛するほど面白いかというとそれはないんですけどね。いえつまらなくはないですが。
では何故読んでるかというと、待ってるんです。ハヤカワで出した「約束の方舟」のような、もっとSFしていてボリュームにも制限がないような本を。あれ結構好きでSF界隈では評価も悪くなかったですし、と期待して応援する意味を込めて。
待ってますよ、いつまでも。

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さて今年も残すところあとわずか。
年賀状はこれからです…明日やろう(やらないフラグ満々)。

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