女神の歌声は空と五線譜を超えて──Walküre 3rd LIVE「ワルキューレは裏切らない」

2月 27th, 2018 No Comments »

■マクロスポータル
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■戦術音楽ユニット・Walküre 3rdLIVE「ワルキューレは裏切らない」
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▼『マクロスΔ』ワルキューレ3rdライブ『ワルキューレは裏切らない』は激アツ! 公式レポートで会場の模様を大公開
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1519604805
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▼【前々回記事】今再び始まる、共に成長する物語──Walküre Attack!(2016/08/14)
http://amytis.main.jp/blog/?p=4751
▼【前回記事】横浜に女神の歌が響き渡った日──Walküre 2ndLIVE「ワルキューレがとまらない」
http://amytis.main.jp/blog/?p=5156
▼【3rd前置き編】歌の力が導いたその先に──Walküre 2ndLIVEから激情、そして3rdLIVEへ
http://amytis.main.jp/blog/?p=5984



あの2ndライブを超える。
ワルキューレのライブパフォーマンスは、純粋に歌唱力で真っ向勝負を挑んでくる力強さを持つ。戦術音楽ユニットという立場から歌の力で攻めなければ勝つことが出来ないし、ゆえに休ませることもさせない。原曲からして難解なコーラスワークもそのままステージ上で披露し、初めてその光景に立ち会った者を圧倒する。

キャラクタを演じる方がそのまま行うライブとしては規格外の領域を完璧にやってのけていたのが、昨年の2ndライブであった。そこから一体何を「それ以上」にしてくるのか。1stの期待とも2ndの信頼とも違う未知の領域への踏み込みに、横アリへ着いてからはずっと身体が震え、早まる鼓動で心臓が痛い。
でもワルキューレはきっとその超えてくるに応えてくれる。だからこちらも声が果てるまで声援をしよう。あれは祭りなどという生ぬるいものではなく参加する側にとっても戦いだったのではないかと、ライブを終え日常が戻って来た今も思っている。



前回からより一層数の増えたフラワースタンドの列を経て会場に入る。ステージが前回より奥の方へ引っ込み、横に広くなっていた。前方スクリーンも横長へと大型化し、ステージ上の段差部分には大小スクリーンがいくつも仕込まれている。明らかに映像演出を強化している一方で、ステージ上から延びる花道とセンターステージは消滅。トロッコが通ることになるであろう道もギリギリまで狭くなっており、強化される演出を如何に同じ会場で多くの人に見せるかの工夫がうかがえるステージングとなっていた。


大型化した前方スクリーンに新規OP映像が流れステージは開幕を告げる。追加作曲された「恋! ハレイション THE WAR」のイントロをバックに、ワルキューレメンバー自身がパイロットとなってバルキリーに乗り込む姿が映る。そのたびに大歓声が上がり、バルキリーがワルキューレ仕様のカラーリングになっていく様でまた大きく歓声が上がり、これまたワルキューレ仕様になったマクロス級空母から発艦する際も、映像と共に会場中がカウントダウンを行う。
強く強く「発進するぞ! 行くぞ!」と打ち出された、ワルキューレライブ史上最も格好いいその映像に会場のテンションは最初からトップギアへ突入し、その勢いを受け「恋! ハレイション THE WAR」を歌い始める5人。
この曲で始まるのは1stライブ以来となる。毎回必ず「ようこそ」を持つ曲で始まるワルキューレライブであるが、恋ハレの場合は人によっては印象が異なるかも知れない。自分の場合は1年半前、5人のパフォーマンスがどれほどのものかを初めて目の当たりしたあの大阪公演を強く思い出した。あの日、あのときめきを忘れずに今も居るかと熱量を試されているようでもあったからだ。
ここまで来れば身体の震えはもう止まっていた。鼓動はおさまらないから心臓はまだちょっと痛かったかも知れない。

新曲は早くも3曲目で投入される。劇場版を観ていれば「幻惑的な」と曲紹介が始まった時点で「チェンジ!!!!!」が来るとわかる。メインメロディから突然バックコーラスに移ったかと思えば再びメインメロディに戻るような、歌唱難易度が上昇している新曲群の中でも一際難解な曲を崩しすらせず歌いつつ、この曲では頻繁にフォーメーションもチェンジし劇中そのままのダンスを再現する。2日目がステージを横から見る形になったのでこの辺りの難易度の高さをより実感することが出来たが、本当に目まぐるしく「そこまでやらんでも」と言いたくなってしまいそうな程だ。だがやってしまう、乗り越えてしまうのがこの5人。

続いて「Absolute 5」「風は予告なく吹く」と続き、1日目は「いけないボーダーライン」2日目は「NEO STREAM」「LOVE ! THUNDER GLOW」とセットリストが入れ替わっての展開。エースボーカルJUNNAちゃん、およびダブルセンターとして立つみのりちゃんにかかる負担が序盤からして相当なものであるのは2ndからそのままだが、2人ともこの1年で大きく成長したことをその声から感じ取ることが出来た。表現力もパワーも去年から数段上を行っている。
あれだけのものを持っていてまだ伸びるのか。特に2日目のJUNNAちゃんは本当に声が果ててしまうのではないかという、自身のソロライブでも見ないほどの気迫で、比較的見慣れ聴き慣れている自分も驚いた。近くの席だった女子2人組なんかは「え、え?」みたいな信じられないものを見ている反応で顔を見合わせていたのが印象深い。そういえば3rdライブは今まで以上に女子の姿を多く見るようになった気がする。
セットリストが両日共通に戻った9曲目以降も「涙目爆発音」「Walküre Attack!」といった熱量の高い曲、そして中盤を毎回支え続ける「AXIA」「GIRAFFE BLUES」と続く。桁違いの大きさで会場を飛び交う「メッサー!」の声から一転、次の曲でピッタリ静まり返り殉職した彼を弔う。


前半でも留まることを知らない勢いは、「後半戦、行くよ!」の掛け声で始まる14曲目から先で真骨頂が発揮された。「ワルキューレが止まらない」を歌い踊りだした5人を乗せたまま、大型のステージが動き出す。そしてそのままセンターブロックの上を通過していった。通過された側の観客は上を見上げ、後方の観客はトロッコ以外で5人が近くにやって来ると思わず喜びを爆発させる。花道とセンターステージを廃した理由はここにあったのだ。もっと遠くへ行ける。もっと上が見える。1日目がセンターブロックだったので、自分も5人を見上げるかたちとなった。
公式レポにもある通り、マクロスのライブは劇中でも見上げるかたちになることが多い。マクロスFは言うに及ばず、ホログラム的演出の走りとなったマクロスプラスの時点で既に確立されていて、演者のパフォーマンス以外の手段としてマクロスの世界観に観客を引き込む更なる一手がステージングだったのだな、と感じさせた。なおこの移動式ステージ、下が強化プラスチックだかで透明になっていて、5人は真下の人にも手を振る気遣いさえも見せてくれている。

大型ギミックと共に迎えた後半戦は熱唱を超えた絶唱を更に超える驚異の曲目続きとなった。3rdライブは2ndライブと比べ単日での披露曲数が若干減っているが、これが結果として密度を途方もなく上げる方向に働いている。1日目が「Hear The Universe」2日目が温存された「いけないボーダーライン」をここに持ってきて、その後「一度だけの恋なら」「絶対零度θノヴァティック」「破滅の純情」と攻める曲しか続かない。そしてその後に新曲「ワルキューレは裏切らない」が満を持しての登場となった。
原曲を聴けばすぐにわかるが「裏切らない」はJUNNAちゃんが高音全開で入らないと始まらない曲だ。ここまで散々体力を消耗するセットリストを組んでおいて、ここで1人にスタートの全てが掛かる曲を持ってくるのは正気の沙汰ではないと思った。だが努力の果てにそれを成し遂げるJUNNAちゃん。
彼女を「まだ17歳」と驚く声はよく聞く。しかし実際のところは「もう17歳」で、「いけないボーダーライン」の収録時は14歳で中学生だった。この2年余りをワルキューレと共に過ごし過酷な歌曲群を超えた今だから出来る、「裏切らない」はそういう曲なのだ。劇場版と3rdライブが決定して本当に良かったと思う。

アンコール前は「Dancing in the Moonlight」がラストとなった。これもまた「ようこそ」を持つ曲で、いつでも、どこからでも歓迎しますよという締め方をするのがワルキューレらしさと言えよう。





アンコール後。
2ndライブでは歌ハインツの生声披露に留まらないサプライズとして1日目でランカを、2日目で元ワルキューレのクレアと美雲の歌・声両方揃える仕掛けを用意していた。3rdライブはステージギミックとしてサプライズを用意していたが、アンコール前でそれ以外がない。何かが来るはず…何かが…そうして「未知なる輝き」との前フリから登場してきたのは…歌シェリルことMay’n。JUNNAちゃんとのダブルエースボーカルによる「ダイヤモンドクレバス」がここに実現する。11歳差でキャリアが段違いであるにも関わらず完璧に食らいつけるJUNNAちゃんが凄すぎた。

…と思ったのも束の間、そのままMay’nソロで「射手座☆午後九時Don’t be late」が始まる。ダイヤモンドクレバスまではわかってもその後のこれには会場もかなり不意を突かれたようで、会場のボルテージは凄まじいものとなった。今から10年前、浜松町文化放送サテライトプラスでMay’nがミニライブを初めて行った当時の1曲目でもある射手座。途中、喉のために活動を一旦お休みしたこともあったりしたけれど、10年を経ても歌声の力強さは健在だ。
そこからワルキューレとの総勢6人で「僕らの戦場」へと続く。

2日目はこれがランカ役の中島さんとなり「星間飛行」を去年に続き披露、ソロで「アナタノオト」、6人で「不確定性☆COSMIC MOVEMENT」というセットリストになっている。「ああ、これは去年やり残したことのリベンジなのか」と思った。ワルキューレ名義のCDには初代やFの歌も収録されているが、ライブでは「ダイヤモンドクレバス」だけが披露されて来なかったのだ。JUNNAちゃんのソロツアーでこの曲は歌われているが、それはあくまで個人活動にすぎない。
そうして、熱狂のうちに2日間は過ぎていった。

▼3rdライブ セットリスト
Day 1 Day 2
01. 恋! ハレイション THE WAR
02. ようこそ! ワルキューレ・ワールドへ
03. チェンジ!!!!!
04. Absolute 5
05. 風は予告なく吹く
06. いけないボーダーライン NEO STREAM
07. おにゃの子☆girl LOVE ! THUNDER GLOW
08. Silent Hacker ジリティック♡BEGINNER
09. 涙目爆発音
10. God Bless You
11. Walküre Attack!
12. AXIA~ダイスキでダイキライ~
13. GIRAFFE BLUES
14. ワルキューレがとまらない
15. Hear The Universe いけないボーダーライン
16. 一度だけの恋なら
17 絶対零度θノヴァティック
18. 破滅の純情
19. ワルキューレは裏切らない
20. Dancing in the Moonlight
En1. ダイアモンド クレバス
(美雲&シェリル)
星間飛行
(フレイア&ランカ)
En2. 射手座☆午後九時Don’t be late
(シェリル)
アナタノオト
(ランカ)
En3. 僕らの戦場
(ワルキューレ&シェリル)
不確定性☆COSMIC MOVEMENT
(ワルキューレ&ランカ)
WEn. ルンがピカッと光ったら

このセットリスト順に改めて曲を聴いていくだけでもだいぶ大変なことになっているのがわかる。
あれだけすげーすげー言ってた昨年の2ndライブを本当に全方位で超えてきて、その超えてきた1日目を更に倍増しで超えて来たのが2日目だった。それは演者だけでなく観客のテンションもそうだ。横アリの天井が割れんばかりの大歓声に、こんなにもワルキューレの歌を信じる力って大きくなっていたんだなと感じた。
両日ともに、終演後ドキドキが治まるまでに4時間ほどを要した。

2018年3月まではマクロス35周年の年度の時期となっている。歌と共にあり続けるマクロスが、放映35周年記念とも言うべきこのライブで見せた「今としての答え」がこれだったというのは大変に感慨深い。
ワルキューレはマクロスシリーズにその名を刻むだけの存在になれたのか。それは今更言うまでもないだろう。シリーズに並び引けを取らない存在として、輝き刻むことがしっかり出来ている。それは世代世代でマクロスに関わる人々が必死に頑張って来たのと同じように、Δ世代も過去の栄光などではなく歴代でもやってない領域へ踏み込む「攻め」を諦めなかったからだ。だから、スタート時点では想像出来なかった、今という彼方の領域がある。


ロスではなくて満たされすぎた、そんな幸せな2日間。
世代を共に走り続けることで見ることの出来た光景は、きっと生涯忘れることはないだろう。
歌声を信じる者同士が共鳴し最高を超えた最強の輝きに満ちたあの空間。本当にありがとう。










歌の力が導いたその先に──Walküre 2ndLIVEから激情、そして3rdLIVEへ

2月 13th, 2018 No Comments »

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▼【前回記事】横浜に女神の歌が響き渡った日──Walküre 2ndLIVE「ワルキューレがとまらない」
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▼『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』本予告


2018年2月はマクロス強化月間だ。スカイツリーとの大型コラボに始まり、劇場版公開とそれに伴う新譜の発売、そして3rdライブ。
このように大きな動きがあると、メディアなどにインタビュウが掲載されたりする。その中のいずれでも触れられていたのは「ワルキューレ2ndライブまで劇場版の制作は決定していなかった」「2ndライブでワルキューレとしての主だった活動は終わりになると思われていた」「ファンもその雰囲気を察知していた」ということであった。それは実際にその通りだったと現地で感じている。
幸い、ワルキューレはマクロスシリーズに連なる存在であるので、この先完全に忘れ去られるということはない。出ては消えていく過酷な世界の中では救われている方なのだが、とは言え一度区切りがついてしまうと歴代歌姫扱いとなり、単独での本格的活動は流石に機会が厳しくなる。しかし団結力と総合的な歌唱力においてシリーズ随一を誇るこの5人の存在は大変貴重で、「出来れば続いて欲しい。もしこれが最後なら自分たちの信じた存在へ、瞬間完全燃焼するのは今ここしかない」…そういう雰囲気に全体がなっていた。
それがあの2ndライブであった。

そんな諦めるかとばかりのワルキューレを取り巻く熱意が、運命を変える。「ここまで成長したユニットをこのまま終わりにしていいのか!?」と2ndライブ後に劇場版制作のGOサインが出され、ワンマンライブは再び横浜アリーナに凱旋が決定。まさに歌の力が未来を動かしたのだった。
歌が命運を左右するのは、いかにもマクロスらしい。



前回のエントリでも触れているが、マクロスΔがシリーズにおけるその新機軸として打ち出した最たるものはワルキューレである。チームであり、Fと違ってユニット名が最初から存在し、戦闘する上でも戦術音楽ユニットとして欠かせない存在だ。あらゆる点で彼女らがキーとなっており、劇場版で展開を改構成するにあたってはそこを更にフォーカスしたものとなった。
元からΔをワルキューレありきの物語として受け取っているならば、劇場版は比較的素直に楽しめるだろう。120分の上映時間の中で挿入歌20曲超という圧倒的な物量はワルキューレという名の風である。その風に乗って鑑賞する体で行けば驚くほど気持ちよく最後まで飛んでいける映画となっていて、それはまるで投げた紙飛行機が高度を多少上下しながらも遠くへ飛んでいくかのよう。物語のテンションはTVシリーズと比べ高めに設定されており、これは2ndライブの熱気を受けてのものとのことだ。下がりかけるところであまり下げないようになっており、そういう場面が不可避であっても立ち直りがかなり早い。

これに伴いシリーズお約束の一角である「三角関係」も本劇場版においては薄められている。ハヤテは最初からミラージュとタッグを組んでおり、フレイアとハヤテの関係は最後まで恋仲未満でしかない。TVシリーズでは終盤までミステリアスさを抱えっぱなしだった美雲も、星の歌い手のクローンとして利用されるまでは同じだが「1人でも欠けたら意味を失ってしまうから」仲間と共にありたいと強く願う姿が強調されている。
このように改められた結果、ワルキューレとそれを取り巻く周囲の人達のチームワークが強く押し出されるかたちとなった。これはマクロスΔが本来目指していた方向性に近いものだ。

だから劇場版は、これまで作品内外でワルキューレというチームを応援して来たファンへのアンサー的意味合いが強い。この文脈を全く読み取れなかったのなら、2ndライブBDの鑑賞を強く推奨する。2ndライブと劇場版は繋がっている関係にあるのだ。そして恐らく、劇場版と3rdライブも。

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初めて「いけないボーダーライン」を聴いた時。
その声が収録時14歳という、マクロスシリーズ歴代最年少歌姫の声によるものと知った時。とてつもないことになる予感を覚えた。
その予感は正しかったと改めて思う。その後彼女たちはアーティストとしてのオンリーワンを目指すべく圧倒的に複雑な歌唱を実際にやってのけ、可能性がボーダーラインを越える展開を幾度も見せて来た。2ndライブだって元々は1日日程だった。
超時空要塞マクロスから35年。時代と共にあったマクロスが今、このような素晴らしい面々に支えられ展開されていることを本当に嬉しく思う。

Welcome to Walkure World。
ワルキューレの公演はいつも、この歌詞を持つ曲「恋! ハレイション THE WAR」で締め括られてきた。公演1回1回はその場限りのナマモノで、必ず終わりがやってくる。しかし同時に始まりを感じさせるこの雰囲気が好きだ。この歌詞を聴くと瞬間完全燃焼すべく挑んだイベントの数々を強く思い出す。
劇場版では「Dancing in the Moonlight」がこの歌詞を採用していて、スタッフロールであるにも関わらず始まりを予感させてくれる。

本当の最後がどこになるかはわからない。ただそれがどこであろうとも、”今”をただ全力で前へ走り続けたワルキューレ。その力強さを信じてここまで来た。
歌の力が導く先は、横浜への女神の歌声の再臨。その日は、もうすぐそこまで迫っている。