想いが導いた場所 ~ μ’s Go→Go! LoveLive! 2015 DREAM SENSATION!

2月 6th, 2015 No Comments »

前日に雪が降っていて「今年もか」と思うも、ライブ当日は見事な晴れ模様が広がる会場上空。
4回目のワンマンライブでさいたまスーパーアリーナという、途方もない挑戦だった去年。そんな不安を天候が象徴しながらもパワーで吹き飛ばしたのがあのNEXTライブであったなら、天候に極めて恵まれた中で開催された今年は「今はもうそんな所を問題にしているのではない」とでも言っているかのようだった。

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扉をくぐり中に入ると、μ’s史上最大のステージングがそこには展開されていた。
メインステージ正面に巨大垂直スクリーンがある。これ自体はなんら普通だが、そのすぐ左右に全く同じ大きさの垂直スクリーンがメインステージ上に並んでおり、更に鏡面加工されスクリーンとしても機能する斜めに設置された4つ目がその手前に存在した。4つ目も横幅は他3つと同じで、演者がスクリーンに囲われている度合いは今までと全く比べ物にならない。μ’sと言えば1stライブから、スクリーンひとつの真下で演者9人がアニメーション完全再現もしくはそれ以上のクオリティでシンクロパフォーマンスをする2次元+3次元=2.5次元感をウリのひとつとしてきた。そもそもそれ自体が演者にかなりのプレッシャーを与えているにも関わらず、今回はそこを強烈に強化しようというのである。
スクリーンひとつをとって見ても、今までで最も大きい。映像面において大きさというのは大きいという只それだけで力を持つもので、過去と比較にならないものを背負いながら立ち向かえるだけのエネルギーが今のμ’sに備わっていることを、スクリーンがその大きさで物語っていた。

スクリーンの持つ力は開演直後からその真価を発揮する。4つ目の斜めスクリーンを丸々水面を表現するために使用し、アニメ1期OPやアニメ2期での全国大会本選会場を再現する。そしてスクリーンの上を、9人を乗せたままリフトが斜めに移動し始める。彼女たちが水面に立っている…本当に一瞬そう見えた。大幅に強化されたセットによる演出やギミックが2次元サイドと3次元サイドの融合をかつてなき力強さで推進していくその様は、μ’sの登場するライブを何回も現地で見ているはずの自分にさえ圧倒される光景であったことを、1日目の1曲目から思い知らされることとなる。ダンスに強いμ’sのライブはその持ち味をそこに甘んじる事なく、次のレベルへと昇華させていた。
巨大スクリーン群はその後も様々な魅せ方を繰り出していく。「もぎゅっと “love” で接近中!」では垂直3スクリーンをそれぞれ3分割して9人を映し出す。最初は2次元、その後はカメラ9台を各演者にそれぞれ向けての計9分割。垂直スクリーンひとつで出来なくはないが、やや狭くてスクリーンの迫力は死んでしまうだろう。3つ同じ大きさを並べた意味が最もあったのは恐らくこの曲になるだろうと思う。

また、今回はカメラの追従が事前に恐ろしい精度で調整されていた事も記しておきたい。元からアニメーションとのシンクロパフォーマンスがウリであったのだからカメラもそれを意識したものにはなっていたが、生の公演を捉えるカメラじゃ限度があるよねという面があったのは正直否めない。しかし今回は、編集済である過去ライブBDよりも今ここで生で見ているカメラの移動やスイッチング精度の方がクオリティが高いという異常事態が起きていた。よほどカメラまわりに力を入れた計画を立てなければこんなものは成立しないし、カメラの追従だけで感動するライブ自体がそう数あるものでもない。
贅沢というレベルでは済まないほど綿密に計算されたステージングとその規模が、今回のGo→Goライブを象徴する一面であった点は間違いないだろう。これがあってこその、かつてない夢の2.5次元に融合される空間の実現。ライブが終わって何日経っても目頭が熱くなったりしてなかなか帰って来られない人が周囲に多発しているのも、ある意味当然ではあるのかな、という気がしている。自分とて例外ではない。

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「今回は今までと違う」点というのは、セットリストからも思い知らされた。
構築されたセットが全国大会本選会場を再現したものであるなら「KiRa-KiRa Sensation!」からの「僕らは今のなかで」という2期クライマックスの再現をするものだろう、というのは容易に想像が出来るはずが、「僕らは今のなかで」は1日目の2曲目で早くも使われてしまい再現されない衝撃が走る。更に特別な曲として終盤への位置づけが半ば固定化されていた「Snow halation」が全体の2/3辺りと遥かに早く登場する動揺や、ワンマンライブ1日分としては初となる「ナンバリングシングル6曲全ては披露しない」など、明らかに “崩し” にかかっている点が随所に見受けられた。全ての始まりとなった「僕らのLIVE 君とのLIFE」でさえ1日目で使用されていない。一方で2期挿入歌に関しては1期終了直後であった3rdライブ同様にアニメと同じ登場順を守っており、どこまでが今まで通りでどこからが今までと変わるかの緊張感が、2日目終盤まで続いていく。

この “崩し” は必然だったのかも知れない。膨大な曲数を誇るラブライブ!というコンテンツにおいて今までがそうだったからと流れを頑なに変えなかったら、次々に登場する新曲が割を食うだけでなく、また先を読めてしまう事は必ずしも良い方向に寄与するとも限らない。彼女らは歌っていたではないか。壁は壊せるものだと、倒せるものだと。
ただし、崩しただけで終わらせないのもまたμ’sだった。1日目で披露されなかった「僕らのLIVE 君とのLIFE」「夏色えがおで1,2,Jump!」は、2日目の2~3曲目に登場。3曲目は1日目と2日目でセンターキャラが異なっており、照明を落としたシルエットの段階で会場がどよめいた。散々披露された既存曲であるにも関わらずである。
そして1日目で早々に使用されてしまった「僕らは今のなかで」は2日目で温存され、アンコール前に「KiRa-KiRa Sensation!」アンコール後に「僕らは今のなかで」の流れがここで遂に実現。アニメがアンコール間で着替えていたのと同様、ライブでの演者も衣装をチェンジ。そのために演目間のPV上映まで両日で内容が差し替えられていた。PV上の衣装変更後のシーンは恐らく数秒と無かったはずだが、ここに至るまで2日で計8時間近くをもって遂に解放されたカタルシスは決して忘れない。この後、ワンマンライブ史上初のダブルアンコールというサプライズさえも待っていた。

定番の崩しと溜めからのカタルシス、期待と不安の交錯具合は見事というしか他ない。1日目と2日目では楽曲のほぼ半分が差し替えられている。
しかしこれを今のμ’sが、両日とも4時間オーバーという長時間ライブで、メンバーの平均年齢も20代半ばを超えたかといった中で、それでもアニメーションとシンクロさせる凄まじい運動量を維持したままで対応するというのは「並大抵ではない」という表現では到底おさまらないほどの、一体どれだけの想像を絶する努力と練習があったことか。「倒れるかも知れない」と南條愛乃さんがMCで語っていたのは誇張でも何でもなく、本当にそういう状態だったのだろう。
「この9人でなければ出来なかった」という言葉の裏に繋がる絆の強さ。その絆が、この大舞台で彼女たちをライブの最後まで引っ張り続けた。

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綿密に計算された圧倒的な規模による演出、そして今まで以上の演者本人らの努力に裏打ちされたパフォーマンスにより強力に推進された2.5次元への融合は「Love wing bell」で真骨頂を発揮し、決定的なものとなる。
そこに居たのは飯田里穂さんでもなく星空凛でもなく、飯田凛としか言いようがない存在。これほど完璧なものがあるのかというほど2期5話そのもの。そんな存在をタキシード姿に身を包んだ5人が見守り、その中から久保ユリカさん演じる小泉花陽がエスコートし、センターステージへ向かう。これにはもう完全に参ってしまって、ライブのMC中に感動で泣いたのは今までも経験した事があっても、曲の最中に泣いてしまって声が本当に出せなくなるという経験を初めてした。日頃そんなに感極まって泣くタイプではないだけに、そんな自分に自分が驚く。でも涙は止まらない。友人の中にはブレードを振る事さえも困難なほど泣いてしまった人もいたと後で聞いた。

全てが高度に完成され融合されていなければ、出るはずのなかった涙。
これらを支え貫く骨として、全ての歌詞を畑亜貴さんが手掛けている事も今更ながらにその偉大さを感じる。今を前向きに生きる的なテーマで書かれる事が多いラブライブ!の歌詞は逆行性のないライブにも通ずるものがあって、アニメや歌を通して感じたことと今自分がリアルタイムで感じていることが心の中でごちゃごちゃにかき混ぜられる。
当たり前だがライブで歌詞は変わったりしない。元々その歌詞はそこにあって演出で増幅されただけに過ぎず、これだけ引っ張りだしても尚衰えることのないポテンシャルがラブライブ!の歌詞には元から存在していたことを、涙が教えてくれた。

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ライブとは、好きの再確認と知らなかった部分の新発見であると思っている。その点に関しては余りにも想像以上のリターンがあったには違いない。自分でラブライブ!が好きだとは意識していても、ここまでとは思っていなかった。
ただ、一方で忘れ物も。ライブが終わったら日常に戻るという、その切り替えるスイッチをどうもさいたまスーパーアリーナに置いてきてしまったらしくて、セットリストに沿って曲を聴き直したり脳内で再生されるたび、どうしても目頭が熱くなる。それが仕事中であっても、1週間近くを経た今でも。

夢の空間だった。DREAM SENSATIONのサブタイトルに偽りも誇張も全くなかった。
もう1回、日常にきちんとスイッチさせる方法をちゃんと作り直さないといけない。でも、ラブライブ!はまだ終わらない。更にこれ以上を目指すとして、次回ライブが会場で予告された。
次こそは本当に帰って来れなくなるかも知れない。でも、それでもいいかと思う。物語の力と人間自身の努力が生み出す熱量が心を底から揺さぶるのを知っているのなら、知らないまま過ごす人生よりかは、よほど幸せなはずなのだから。

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2日間で唯一楠田さんのためだけに1回だけ使われたリフトの話、楠田さんのダンス経験が生き映えに映えた「Dancing Stars on me!」、久保さんが「ご飯炊けたよー!」と炊飯器を掲げただけで驚異的な盛り上がりを見せた「好きですが好きですか?」、「Love wing bell」を終えてメインステージに戻る6人を逆光で捉え神々しいまでの映像を届けた撮影チーム、最終的にスタジアムのAゲートからBゲートまで殆ど繋がるほど届いたフラスタ、いつも気丈に振る舞う三森すずこさんが1日目最後のMCで見せた感極まる表情、3周も4周も周ったゴンドラ移動でファンと接近した時に互いが見せた今が最高という笑顔、μ’s初の七色に輝く電飾衣装で派手に暴れてから一転、凍りつくような青と白の輝きと随所で静止する振りをもって冬を一瞬にして体現させたBiBiの「冬がくれた予感」、コール&レスポンスの間を完全に掌握しアニメとファンが直でやりとりしている錯覚さえ覚えるほど良く出来ていたアンコールPV…。書きたい事は山ほどある。
書き切れる気もしないので、今直近の心境としては(打ち上げ的なものが今回はあまり出来なかったので)参加した友人らともっと話がしたい。

ありがとう。このライブを終わりまで導き支えてくれた、全ての人たちへ。