実体なくも、生は心と共に。

4月 30th, 2012 No Comments »

4月の読書は8冊2524頁でした。書き忘れてた3月は9冊2773頁。いつも通りか。

■スカイ・ワールド/瀬尾 つかさ
http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201201000344
■ソードアート・オンライン1/川原 礫
http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-867760-8/

今週は瀬尾先生の新シリーズとSAO再読、どちらもMMORPGを題材にした物。
仮想空間ゲームを題材にした物語自体は古くから数多あるけれども、ラノベ界隈は特に最近増えて来ているように思いますね。そんな状況を承知の上で「MMORPGものを書いてみたかった」という著者の意向によりスカイ・ワールド(以後SW)は始まったようです。
しかしですね、概要がパッと見SAOに似過ぎてるのが…。もちろん細かいところや展開は全然違うんですが、これはわざとなのか素なのか。瀬尾先生の本は「円環のパラダイム」「約束の箱舟」くらいしか読んでいないウチには意図するところがちょっとわからない。

で、SW1はヒロインがMMORPGズブの素人の状態から始まる成長物語の体を採っています。そのため初速がかなりニブく、1巻終了時点でやっとまともに本格的冒険が始まるかどうかといったところ。いやご都合主義でやるくらいなら遅いのは別にいいんだけど、この巻のキモであろう成長過程を途中「え、そこ飛ばすの?」みたいな端折り方をしているのが引っ掛かりますね。いくら天性の物覚えの早さがヒロインの取り柄とは言え、流石に不自然なんじゃないかなあ。350頁もあればその辺りは解消されたのだろうけど、富士見の営業判断的にそうもいかないらしく勿体無い。好きに書かせてあげればいいのに。

結果として概要が似ている上に肝心な部分が足りくて一体何がウリなのかがよくわからなくなっています。更にエンジン掛かるのも遅いので、これ単巻では微妙も何も判断出来る材料がありませんなあ。ヒロインもとりあえずはいっぱしの戦力となりつつあるようですし、MMORPGとしてのバトル描写は細かく描けているし、先に不穏な雰囲気を漂わせていたりもするので続刊にひとまずは期待でしょうかね。よっぽど凄いチャブ台ひっくり返さないと「なんだやっぱりSAOの劣化コピーじゃんか」で終わるけど、そうならない事を願います。

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では何故面白く支持するに至ったのかを確認してみたくて再読したSAO。
冒頭の世界観設定及びそれを取り巻く状況に全体の2割となる76Pも割いていたんですね。この間実際の行動はほとんど起こさず、せいぜいデスゲーム突入のお知らせとそこに至る直前の流れのみ。かなりの量を地の文で綴っています。通常、説明が長いだけではそれは良い事に繋がるとは限らないのですが(魔法科高校の劣等生みたいに説明だけが無闇に長い作品もある)、高Lvプレイヤー視点での “仮想空間内社会情勢とその心理” にも触れられていて、地に足がついた描写になっているのが大事なところ。SWはこれを10Pで片付けてしまっています。そりゃ薄っぺらいと言われても仕方がない。

またSAO1は成長物語ではなく、バトルに関わる登場人物の全てがトッププレイヤー集団=素人が居ないという構図である点も重要で、一般的に物書きの有り方としてはキャラの成長を描くのが定石だと思うんですね。読み手はその世界の事知らないし、登場人物が勝手に話進めて読者置いていくのは最悪ですし。でもね、RPGの低Lvって出来る事全然ないから面白くないんですよ。オンでもオフでもいいからRPGでLvの高いキャラクタを動かした経験が読者にある事をアテにしてゲーマー的観点で書き上げちゃってて、結構SAOってバクチ打ってるんだなあと改めて思うなどしたのでありました。出自が「読んでくれる人だけ読んでくれればいい」ネット小説だったというのもあるんでしょうけど。
RPGもMMORPGも経験が浅いとSAOは多分全く面白くないです。そういう意味では、SWは無難な話の進め方をしているとは言えますね。


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本と言えば、ニコニコ超会議に南極点のピアピア動画を持参し野尻先生にサインを頂くなどして来ました。他媒体なら過去にあるけど文庫本にサイン貰ったのは初めてです。嫌な顔ひとつせず、にこやかな笑顔で握手までして頂き本当にありがとうございました。大事に大事にします。
先生何やってるんすか仕事して下さいなんて言いません! 動画・小説どちらも、今後も応援しております。

GW間近

4月 22nd, 2012 No Comments »

今週はなんだか低調な1週間でした。
あと1週間すればGWなので…なんとか堪えたい今日この頃。

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■ナゼアライブ/川口 愉快
http://nazealive.yukai-kawaguchi.com/

表紙絵が前から気になっていたので。
これは児童書扱いでいいんじゃないかなあ…。小学5~6年くらいが適当で中学生が読む本でもない印象。社会に出たら大人達って思ってたほど立派なものじゃないと落胆する辺りとか、その位の年頃の子達にこそ見てもらいたい気がしますネ。物語も主人公が小学生だった頃から始まるので入りやすいでしょうし。
ウリ文句的にはSFホラーだそうですがどちらでもありません。仮想空間が出てくりゃあSFって言っていいんですか? みたいな感じだし、自殺者が凄まじい勢いで増えていく割に「TV見てたら年間自殺者が100万人超えたんだって」「うわー、怖いねー」みたいな緊張感のなさ。そんな世界の命運を握るのがわずか数名で、たった1つのフックがどっち向くかだけで決まるような話なのでいわゆるセカイ系ファンタジーですね。
昨年発売直後に10日で3刷まで出ていたようですが、どこでそんなに話題になったのか。おすすめはしない出来ない。


■ミニスカ宇宙海賊8 紫紺の戦魔女/笹本 祐一
http://asahi-novels.com/special/201204.php

前巻髑髏星に侵入してから、そう言えばまだ海明星に帰っていなかったですね。今回はそこを片付けたのと、途中に起きた小話その他番外編的位置づけかしら。これを次に引っ張るつもりはないように思います。じゃなきゃあんなオチの付け方にはしないでしょうから。
新キャラのノエルさんについては、バウンティハンターでありながら女子高に潜入しリクルートスーツに大型ライフルを背負い、校内や地下遺跡をホバーバイクで乗り回しエネルギービームをぶちかますシチュエーションがおいしすぎます。それ出したかっただけちゃうんかみたいな(※褒めています)。
白鳳女学院の建物としての出自と銀河帝国併合前の海明星の歴史について踏み込んだ巻でもありますが、いやー地下があんな事になってたなんてなーってきっとシリーズ当初そこまで考えてなかったと思う。「あとできっと活きるだろう」というアタリをつけるのが笹本先生相変わらずうまいですね。

アニメの方は、原作からの汲み取り取捨選択はよく出来てると思います。概ね予想通りのものが出て来ているので可とも不可とも言えません。最新話では原作3巻をまだ終えておらず、この後原作から離れてオリジナル路線になるので、評価はそこまでお預けかなあ。
キャラデザだけは許容出来ないまま終わりそうですが…。

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今年は年間100冊ペースを今のところ維持しているのですが、家で読書をするのが相変わらず治せません。椅子が悪いんじゃないかという気がしていて、長時間座ってると腰が痛くなる…。なんか読書に向いたいい椅子はないかな。背もたれが高い奴がいいかな。

遙けき星の森へ

4月 14th, 2012 No Comments »

■導きの星I 目覚めの大地/小川 一水
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=1771
■導きの星II 争いの地平/小川 一水
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=1780
■導きの星III 災いの空/小川 一水
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=1781
■導きの星IV 出会いの銀河/小川 一水
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=2149

なぜ「天冥の標」があのような始まり方になったのかについて(一水先生の過去作をさほど知らない内に読み始めてしまったウチには)余り納得が行っていなかったんですけども、このシリーズがあったからこそ天冥がああなっているのですね。

今作はエネルギー問題や食料問題を乗り越え不老不死技術さえも成し遂げた地球人類が、遅れを取っている異星文明に対してシムアース的観察業務を行う物語。惑星オセアノに生きるリスに似た種族・スワリスがまだ火に怯え扱い方も知らなかった時代から始まり、船を操り空を駆け核兵器で惨絶な悲劇を経験し、宇宙で覇権戦争を繰り広げる所まで全4巻で一気に駆け抜けていきます。この間地球時間換算でわずか540年。異文明への不接触を観察方針の骨子としながら何故このような超高速発展が成し得たのか、そして全く異質な生体であるにも関わらず何故これほどまでに地球人類文明そっくりの歩みをする事になるのかは後々明らかになります。伏線は余すところなく回収され、かなり多様な種族や勢力が登場し複雑に絡む物語はとても魅力的。スワリスもかわいいです。
ただ、構成が若干微妙だったのですな。後出しジャンケンの様な追加をして最終的に横一列に持って行こうとするから、後から活躍する方ほど寸詰まりで窮屈な印象を受ける。横一列展開も最終巻中盤くらいからなので、本題はそこからなのに駆け足気味な印象を受けてしまう。そこに限界を感じたのか天冥では最初に主要勢力を全部出して後から仔細を語る方式にしたのでしょうな。時系列的には今作の方が良いのでしょうが、まあそんなもん年表こさえてしまえばどうとでも解決されますしねえ。

また著者的に宇宙人を登場させたのはこのシリーズが初めてだったとのことで、今作では人類に馴染みやすい・わかりやすい種族が主役を張っていますが「もっと色んな理解されないような異星体いるだろ」的アプローチが、あとがきにある通りこの作品後様々な形で行わていく事になります。一水先生の本当に凄いところは、問題の在り処を把握し潰して昇華していくそのアプローチが非常に的確である点なんですね。天冥辺りだともう非の打ち所がなさ過ぎて何も言えませんもん。てか、そのあまりにも的確過ぎるアプローチ、刊行ペース、経歴年数の割に非常に高い到達度は、むしろ一水先生がスワリスのように外的存在から干渉を受けているんじゃないか説を持ち出したくなr(ry
個人的には「時砂の王」が非常に惜しいところまで行きながら若干の消化不良を起こしているので、もう一度時間干渉ものを書いてくれないかな、などと思っています。

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さて以下は、2週間ほど日記溜めてる間に色々来たりしていたのでご紹介コーナーをば。

■ソードアート・オンライン(アニメ)


曲が梶浦さんですよ! チャラいBGMでもついたらどうしようかと思っていたけどそんな心配なさげというか、個人的には放映前からサントラ購入決定の勢いですね。その発展経緯から同著者のアクセル・ワールドとは比べ物にならないほど期待がかかっていながら見事にPVの評価は上々な様です。7月が楽しみですね。


■Next HATSUNE MIKU Project DIVA


かねてより来る来る言われていたPS VITA版。PSP版はフレームレートが可変でゲーム性に問題があると思うのですよ。ぽっぴっぽーとか特に酷いんだけど、次の瞬間いきなりレート変わったらキツいですって。固定フレームレートで安心して遊べるPS3版(ドリーミーシアター)も展開されているとは言えPSP版から1年も待たされるのはどうかと思いますし、待望の上位機種移行であります。もうそんな事を悩まなくて良いのだ。
モデリングがPS3やアーケード版寄りでなく、PSP版をベースになっているのも好印象。高解像度機種版に比べ可愛さがうまく残されていますね。

■DJMAX TECHNIKA TUNE


元々PCオンラインゲームとして始まりながら、コンシューマ展開の方が既に長いDJMAXシリーズがアーケードへ進出したそのコンシューマ移植版。TECHNIKA 2までをベースにしているのかな? 国内販売担当はサイバーフロントでしょうが、本国版が先に出るだろうから多分そっちで買うんじゃないかなー。PSP同様VITAもゲームリージョンフリーですし、今までのDJMAXportableシリーズだってそうやって取り寄せ購入して来ましたから。
こちらも発売は夏予定。今年の夏はVITAの音ゲーがアツいですぜ。