常識を逸した強さと美しさの物語

5月 30th, 2011 No Comments »

■サクラコ・アトミカ/犬村 小六
http://sai-zen-sen.jp/fictions/sakurako/

言語を絶する美貌の姫君サクラコの、その美しさを核分裂物質に転換し世界を滅ぼす核兵器とする。この突拍子もない設定を主軸にボーイミーツガールを展開させた物語。舞台となる丁都や登場人物の出自はどれも歪んだものばかりだけれど、お話自体はとても綺麗でまっすぐ。最後まで気持ち良く読む事が出来ました。

何よりですね、終始サクラコがかわいいんですよ。たぶらかそうと思ってたら気がついたら恋に落ちてたとか、ほんとはウブなくせに強がるところとかが何だかんだいって子供で。すげー粗雑でわがままだけどそれはそれで悪くなく、設定が設定なので後半はとんでもない事になるけど、それでも前に進もうとする時に見せる彼女の本質がまた魅力的でですね。

挿絵の雰囲気も相まってお伽話のような印象を受けたかな。科学的な考察描写は一切なく、”SFとして読まなければ” 結構な良作だと思います。星海社の売り文句を真に受けて話に理屈を求めると「なんじゃこりゃ」でしょうけど。
小学校高学年辺りにオススメしたい一冊。夏の読書感想文にも悪くなさげです。むしろウチが小中学生の頃にこういう本に出会いたかったのう…。

In a perfect world, There is no escape.

5月 28th, 2011 No Comments »

■ハーモニー/伊藤 計劃
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/21019.html


国内では第40回星雲賞日本長編部門受賞、第30回日本SF大賞を受賞したハーモニーが英訳版にてフィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞しまして、その英訳版が普通にぽちれる様だったので取り寄せてみました。右上から時計回りに、最初に出たJコレクション版・文庫版・英訳版。

英訳版では <IN A PERFECT WORLD, THERE IS NO ESCAPE>  という副題がつけられています。見るからにディストピアものだとこれだけでわかるようになっているけれど、明示し過ぎているのがちょっと「うーん?」と思わなくもないかなあ。ハーモニーという響きとは裏腹に、真綿の様に締め付ける “空気感” がこの作品の特徴であり良さかなとウチは思っているので。あと細かいところでは、元々 <harmony/> が正しいタイトルだったのが英訳版では只のHARMONYになっていたりしています。聞いた話では後ろにスラッシュがあるとhtmlの文法がおかしいんじゃないかというクレームが海外では云々とか。
デザインだけで言うなら普通に女の子が描かれているJコレクション版よりは、英訳版の方が好みかも知れませんね。色がピンクなのにはびっくりしましたけども。
英語はかなり苦手な方ですが、こうして両方あるのでいずれ並べて読み比べでもしようかと思います。

もう3年程前のものなので内容については省略。
2000年代SFを代表する非常に素晴らしい一冊。文庫版ならお求めやすい価格ですので、ぜひ。


今月の読書

5月 27th, 2011 No Comments »

先月より読書メーターで読書量を管理し始めたのですが、それによれば今月は8冊2400頁(予定)と自分的にはなかなかのハイペースでございました。
…と言っても他人と比べれば圧倒的に少ない方。1日75頁、時間にして1時間強くらいしか読書に割り当ててる時間はないのです。朝の通勤は毎日寝てるし帰りしか読んでないし、家で読書するのはペースが遅れているか休日か位ですし。往復を全て読書に充ててればもう倍ほど読めるんだろうけど、程良いペースでないと頭の中に入らないしなあと思って結局このままですね。

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■アトリウムの恋人/土橋 真二郎
http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-870543-1/

東京を正確にシミュレートさせた仮想世界「東京スフィア」を巡るお話。
題材だけなら非常に好きなタイプ。しかしこの話、主要登場人物が基本的に全員封鎖前の東京スフィア関係者なんですね。遥花が諸事情でそれを忘れているので彼女が読者に最も近い立場…かと言うとそういう訳でもなく、その諸事情により不可思議な行動を取るため序盤における読者の(お話からの)疎外感が酷いです。まるで間違えて1巻すっ飛ばして買ってしまったかのような。
わざわざ「新シリーズ登場」と謳うんだったら、単巻で無理に決着をつける事はなかったのではないかとも感じた1冊でした。設定の規模がちょっと大きく起承転結の起だけで半分位食っておりまして、残り半分で承転結をドタバタと押し込めているため全方向に対して一体何がしたかったのかという中途半端感が残ります。オチも何も解決してないというか元に戻ってるだけで、デビュー作家な訳でもないですから無理矢理片付けようとしなくても適当なところで引いといて前後2冊くらいにしとけば良かったのではないかと…。
なんかラノベに手出すとそういうのによく当たるんですが、1冊で何でもいいから決着つけろやみたいなレーベルの方針とかあるんですかね。よくわからんのだけど。


■ミニスカ宇宙海賊1~6/笹本 祐一
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=9829

全て再読。恐らく10月にアニメ版が開始されるでしょうからその前に3年分振り返っておきましょう的な意味で、今月のメインはこれでした。
最初はお約束でモリモリ固めつつウォーミングアップを行い、後で艦隊戦とかスペオペを存分にやらかす何時もの調子ですので大体安心して読めます。ただしそれは往年の読者だからそう思うのであって、盛り上がりをどうこうというよりは綿密に坦々と展開を紡ぐ笹本節に慣れていないと特に今時の読者には読みづらいんじゃないかなーというのは否定出来ませんね。アニメ化に際して興味を持ったのであれば、まずこれを読む前に過去作を読んでおくと良いと思われます。

人物配置の無駄のなさ・その料理の仕方は相変わらず抜群の巧さで、今シリーズでそれが最も感じられるのは4巻ではないでしょうか。一気に話が動き出すこの巻では、各登場人物がそれぞれ非常にいい動きをしています。立案や指揮においていいとこ取りしまくるグリューエル、卓越したというより超高校生級なリン部長の電子戦スキル、海賊船長引退してたのに人材不足だからと引っ張り出されるも往年の才能を如何なく発揮する梨莉香ママ、最初は部所有の練習船すら動かすのがやっとだったのに気がついたら海賊と合同で艦隊戦に参加するにまで成長している白鳳女学院ヨット部の面々。
原作だとストック足りなさすぎるのでアニメではオリジナルストーリーが多分に展開されるかと思います。彼女らがどのような活躍をするか今から楽しみですな。原作の方も2桁巻くらいまで続いて欲しいものです。

□サクラコ・アトミカ/犬村 小六  ←イマココ!!
http://sai-zen-sen.jp/fictions/sakurako/

読みかけにて別エントリにて。

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来月は何を読もうか。
ここ何年も海外SFを敢えて読まず国内に留めているのもそろそろ解禁しようか迷うところ。翻訳ものは文化の違いや翻訳の癖もあって更に読解速度が落ちてしまうのが。最近の話題作だとねじまき少女とかは気になってるんですけどね。

冒険は終わり、そしてまた始まる

5月 12th, 2011 No Comments »

■FF11 公式
http://www.playonline.com/ff11/
■FF11 一部ワールドの統合に関するお知らせ
http://www.playonline.com/ff11/polnews/news20604.shtml

西暦2011年5月10日午前0時、ヴァナディール天晶暦1123年3月21日午前0時。
PS2版発売時から稼動していた所属ワールドは統合により消滅しました。


どんちゃん騒ぎとばかりに/shoutで溢れかえるジュノを早々に離れ、最期を迎える場所として訪れたのは「神々の間」。ここは大事な大事な思い出の場所。
エリア人数は1名。ヴァナディールに降り立ったその時と同じように、閉鎖する時もまた1人静かに。最初にLvを上げた赤魔道士で、お気に入りの装備を着て。女神アルタナ様の前では失礼なので武器も外して、回線が強制的に切れるその時まで。


そういえば、統合の際競売出品や配送の類は消えるので各自回収しておくようにとの指示がありましたが、わざと忘れ物をして来ました。


花言葉は[青春の思い出・大切な友達]。感謝の気持ちを花束に。
9年間お疲れさまでした。新天地でも頑張ります。

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余談ですが移転先にて名前がダブっていたため、強制改名となりました。頭文字はZからAへ。
かの世界での旅は終わりました。でもまた始まるのです。今度は仲間と共に。