2016年夏コミ 寄稿のお知らせ

8月 1st, 2016 No Comments »

コミケの時期がやって参りました。
今夏の寄稿は2サークル様計3本となりましたので、その報告と紹介です。
どちらもテキスト主体の本となっています。

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■魔界戦線『ビューティフルワールド』
→広がる新しいステージへ ~『プリパラ』二〇一五年シリーズの軌跡
http://ilya0320.blog14.fc2.com/blog-entry-2268.html
(委託:8/13東ツ-32a、8/14東W-03a)

アニメ・ゲーム・映画・その他関連動向までを網羅するプリパラ総括本、昨年の『パーフェクトスマイル』に続き寄稿させていただきました。今年はアーケードゲーム1年分のまとめ担当です。

プリリズからの筐体一新でロケットスタートを切ったプリパラも、1年目は実装量や各種商品展開要素の都合から、盛り上げようとするとある程度スコアを念頭に置かざるを得なかった事情がありました。そのため去年はスコアシステムの相関関係に着目して述べていたわけですが、2年目ともなると要素の充実に伴い盛り上げる傾向や幅は次第に変わり始めます。具体的には2年目の夏にはもう兆候が見えていましたね。
何年も使われ続けることから、見た目からの新鮮味は失われる宿命にある大型筐体。そこに対しプリパラはどのような回答を見せ、どこを目指しているのか。2年目の傾向からこれからについても迫ります。


■鎧屋『旅立ちの日を見送ったあとで ~ありがとうラブライブ!~』
→覚悟と勇気が導く未来への跳躍 – μ’s 3rd Anniversary LoveLive!
→振付の変化に見るμ’sの挑戦と変遷の軌跡
http://loveliveafter.tumblr.com
(直参:8/13東パ-34b/委託:8/12東エ-45b、8/14東ク-17b)

東京ドームライブを遂に実現させ、活動に一区切りをつけたμ’s。
6年間の歩みを振り返る、全ワンマンライブ感想やプロジェクト全体を跨ぐ様々な視点からの考察など、多面的に構成されたファンブックとなっています。特設サイトがありますので、詳しい案内はそちらを参照下さい。
こちらでは2本の寄稿に加え、その後の工程も幾らかお手伝いさせて頂きました。

昔を知る人はこんなことがあったと懐かしみ、知らなくても当時はこんな空気だったんだと知り、手に取る全ての方の心に今一度μ’sが刻み込まれるかたちになれば幸いです。

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指名での依頼というのは大変ありがたい話ですね。また今回は寄稿しただけでなくその先も少しは携われたので、とても良い経験となりました。
ぜひ、どちらともよろしくお願いします。

荒れ野を繋ぐ奇蹟

4月 27th, 2013 No Comments »

個々でエントリ起こすつもりが、気が付いたら殆ど読み終えに近い状態に…。

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■円環少女(11) 新世界の門/長谷 敏司
http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=200905000535

表紙からして、物語が次のステップに進んだことを示しています。あれだけ戦いを拒み批難して来たきずなの手に銃がある。
つい数ヶ月前まで本当に只の女子高生に過ぎなかった彼女に銃を持たせるまで11冊かかってますが、戦争放棄をした現代日本に生きる一般市民の日常に銃は存在しないわけで、そこに非日常を突き刺すにはこのくらいの段取りでむしろ普通でしょう。力は考え方も社会も生活も変えてしまう。ある日突然銃を渡されてバンバン撃てる方がおかしいのです。
“こっち” から “向こう” へ渡ることで生じる変化がどれだけのことなのか、またそういった者の取り扱いがどれほど慎重を期することなのか。元より展開の広げ方に慎重なこの物語において、その中でも特に気を使って来た要素が遂に転化を始める、後半戦の開始にふさわしい巻でありました。

今まで溜め込んで来た物の多さもあって、この後半戦からの状況変化は劇的かつ圧倒的なスピード感でしたね。きずなが再演魔導師としての才能を開花させる・2人目の再演魔導師が誕生する・王子護によって全世界に魔法の存在が大っぴらにされる・世界に核の雨が降る・神なき世界に神が降臨し地球世界が再演世界として固定される・《協会》の黒幕であった《九位》が敗北する・再演大系の終着点と役割が明示される…これが全部この巻での出来事、シリーズでも屈指の情報密度です。情報密度は1巻も相当なものでしたが、状況が見えてくるのとそうでないのとでは話の加速度が全く異なりますね。
題材としてはファンタジーなんだけど、緻密な描写と溜め・飛躍はどちらかというとSFを読んでいる気分になりますな。


■円環少女(12) 真なる悪鬼/長谷 敏司
http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=200909000467

続く12巻では、死んだも同然の状態にまで追い詰められるも死ぬことを許されないきずなが魔法使いとしての生き方を自覚、自分なりの落とし所を見つけて前に進み始めるまでが主だった展開に。その姿は凛々しくて、しかし彼女なりの優しさも残されている。仁との距離の取り方も、近すぎ離れすぎから丁度良い折り合いをつける事が出来た気がします。新しい彼女がそこにいた。

一方で仁も魔法消去能力としては最強の《真なる悪鬼》へと覚醒するのですが、仁にしてもきずなにしても言えるのは「今まで散々迷っていたのに、ここからはもう迷っていない」。彼らはここまで人並み以上に紆余曲折があったかも知れないけど、そこには積み重ねて来た “何か” がある。今までの自分があったから、最も大事な場面で行くべき道に迷わない。
積み重ねは裏切らないのだ、という描き方は正しくラノベしてるな、って感じですね。しかしまあ、仁ときずなってほんと似たもの同士だな。


■円環少女(13) 荒れ野の楽園/長谷 敏司
http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=200909000468

そして最終巻。
11巻のところでも書きましたけど、円環少女って魔法バトルものというわかりやすいコンセプトとは裏腹に展開がかなり慎重なんですね。最初は東京近辺でしか物語を展開させず、アメリカが関与して来たのが4~6巻の地下戦争編、ヨーロッパを拠点にしている《連合》が絡んで来たのが10巻。地球世界ではない他所の魔法世界が直接描かれたのも9巻という遅さ。
いくらでも広げられるけど責任が取り切れなくなるから風呂敷をずっと抑えめにして来ただけに、冒頭や中途で何度か挟まれる「再演秩序がもたらす10万年後の世界」の描写のスケール感には感慨深さを覚えます。一足飛び感なくここまで持って行くのは本当に大変な事だったと思う。

最終的には、過去をやり直してより良い未来にしたい願いから生まれた再演大系という名の奇蹟と、実力行使でなく意志と言葉で誰もが他人と繋がる事の出来る救いから生まれた魔法消去という名の奇蹟、この2つが未来の果てで直接対決。仁が勝利して再演大系が敗れ、人間の手で未来と秩序を築く結末に。
仁が勝てたのは、作中で彼が言ってますけど彼の実力だけではありません。地球世界には、魔法で社会が構成される事なく努力と積み重ねでここまで築き上げた来た秩序がある。それをある日やってきた神様が秩序を強制するには、地球世界は人が多すぎて複雑強固に社会が出来過ぎていた。
不可能を可能にする夢物語でなく積み重ねの現実が最終的に勝利する。仁やきずな、メイゼルなど個々の生き様としての「積み重ねは裏切らない」を、最後で世界そのものに相似適用させて終劇とした、気持ちの良い大団円だったと思います。

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長谷せんせの本は一般文芸進出後に読み出して、円環少女は魔法バトルものということで長らく後回しにして来ましたが、終わってみれば読んで本当によかったシリーズでした。自分の中にいくつもの “何か” を残してくれたものになっています。
今年度中には、次の新刊…MGS3/PWのノベライズも出ますかね。作を重ねるたびに緻密な描写と思索性を増していくせんせの今後にも期待しています。

時砂の糸電話

4月 13th, 2013 No Comments »

■コロロギ岳から木星トロヤへ/小川 一水
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/21104.html

「天冥の標」刊行中の合間に、書き下ろし新作が登場。
どーして小休止とか言いながら油断出来ない面白さの本が出て来るかなあ(笑)。21世紀と23世紀を股にかけた糸電話型歴史改変SFであります。

一水作品としては貴重な位置づけにある作品です。というのも、頻繁に新作を刊行するも1冊で終わる長篇というのが案外少なくて、短篇集か複数巻跨ぎが多くを占めているんですね。「短篇集は読んだけど長篇は重いしなあ。気軽に読めるものをもうちょっと挟みたいのだけれど」というところを見事に突いています。まあ、そういう編集のオーダーだったみたいですが。

そういうテーマもあってか、物語の進行はかなり楽観的。歴史を改変する可能性は必ずしも良い方向とは限らないはずなんだけど、試行錯誤していたら1冊どころかシリーズものになって小休止じゃなくなってしまいますからね。そこら辺かなり割り切っていて、そして一水先生イズムの「希望ある結末」へと収束していきます。
本当に気軽に読み進めて行けるので、小休止や一水作品開拓し始めとして大変おすすめ。ジャンルが同じ「時砂の王」と併せて読んでいいかも知れません。


■ソードアート・オンライン12 アリシゼーション・ライジング/川原 礫
http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-891529-8/

アンダーワールドとはどのような場所なのか。それを10巻では外部から描き、逆に内部世界に生きる者からやっているのが今回のライジングになります。

しかし…キリトとユージオが央都に辿り着いて以降、急に面白くなくなっているような。全体の展開を優先しているのが見え透いているような気がしてなりません。
辺境でキコリゼーションやっていた頃までは話を動かす要素もそんな多くなかったんで、ひとつひとつがミッチリ描かれていたように思います。しかし央都に辿りついた辺りから行く手を阻む敵が急激に増え、設定の風呂敷を広げすぎているせいで絡む要素がえらい事になり、それを消化するので精一杯という印象を受けるんですね。今回は特にそれがひどい。

ではそこまでして優先したいテーマが何かっていうと、やってる事は「仮想空間計画」と同じですから、とりたてて凄いわけでもない。元より世界設定的には奇をてらっていないSAOが勝負する点は、世界が生きているかのように見える濃密さであったと思っているんですが、それがアインクラッドにあるのにアリシゼーションには足りていない。SAOってこんなにバトル描写が大雑把じゃなかったと思うのだけど。
アインクラッド辺りの密度でやってるといつまで経っても終わりそうにないのはわからなくもありませんが、消化されてるかも怪しいものを読んでいてもあまり気分は良くありません。
正直この数巻ほどはテンションちょっと低いです。

アインクラッド編をもう一度一層から書き直す、濃密さを更に濃い方向へ持って行こうとしているプログレッシブシリーズの方が、今は楽しみかも。

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年度が変わりました。
昨年度の読書量は71冊23,511頁。一昨年度の83冊28,518頁が自分にしては多かったので、月1冊相当分が減ったのは予定通りといったところ。しかし読んでいる時期に若干ムラがあり、無理のかかっている期間が全体の2割くらいあったのは反省点です
今年度は量を維持しつつ、もう少しペースを均したいな。

寿ぎの歌

3月 24th, 2013 No Comments »

■円環少女(10) 運命の螺旋/長谷 敏司
http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=200902000004

妹の舞花が既に世に居ない事が仁の行動原理の一端であったのに、その妹が復活した。
前巻で神和にも指摘されていたように、仁の行動は軸が通ってブレないようなものではないんですね。覆せない過去の積み重ねと置かれた状況下で、その時に出来ること信じるものを選択している。舞花が生きているかも知れないってわかっていたらここまでこんな行動は取らなかったであろうに、それを根源から揺さぶるこの仕打ち。
しかし「何故今頃になって復活したのか」という部分も含め、舞花についての描写は先送りされます。むしろこの重要過ぎるファクターを活かすための周辺状況の盛り立てこそが今巻の見どころでありました。いつになったら真正面から扱うのかと思っていた様々な要素が一気に動き出しましたね。メイゼルが何故刻印魔導師であるのかもやっと語られました。

いやーそれにしてもメイゼルの母ちゃん・イリーズが持つ能力の凄まじたるや。巻を追うごとにチート級が登場してくる今シリーズにおいてもイリーズは別格中の別格でしょう。地下戦争編辺りから魔法に機械を組み合わせたらやばいですよというのをやってるけど、真の実力者が魔法使いらしく力を探求し機械を駆使したらどうなるかの規模がですね、なんかもう計算するのもやめたくなるほど圧倒的。よくここまで思いつくものです。
一方、魔法使いなのに力の探求を拒むきずなに降りかかる試練はこれまで以上に過酷でどうしようもない方向へ。今まで “逃げてきた” ことにバチがあたったかのように、遂には自分の手で人を殺すに至ってしまう。逃げも隠れもしないメイゼルが歩んで行く道とは対照的。さてここからどうやって立ち直るのか。

他にも本当に見どころが多くて、感想をまとめるにもまとめ切れない一冊。
残り3冊でどういう落ち着け方をするのか気になりつつも、以後次月で。


■星界の戦旗V 宿命の調べ/森岡 浩之
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/21106.html
■SFマガジン2013年5月号(星界特集)
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/721305.html

前巻から実に8年3ヶ月ぶりの新刊。去年の6月頃に再読していた時「なんか再コミカライズ始まったけど、まさかシリーズ再開フラグじゃないよねえ」などと言っていたら本当に再開フラグだったとは。
対人類統合体星間戦争の行方は、中立の立場にあった(と思われた)ハニア連邦が突如アーヴ帝都へ侵攻を開始した事で大きく動き出す事に。ハニアが一枚岩ではなかったことやその規模を読み間違えていた事などが重なってアーヴは帝都ラクファカールまでをも陥落されるのですが、未曾有の危機だからこそアーヴがアーヴ足り得る所以を垣間見た気がしましたね。宿命遺伝子の存在によって君主に反抗する概念がないのでこういう時に混乱をきたさないし、仲間への帰属意識が物凄い強いから、それを守るためであれば自らの死をも厭わない。
やっぱりアーヴという特異な種族そのものについて語られている時の方が星界は面白いです。戦旗の前巻まではアーヴがそこまで追い込まれていなかったので、戦闘のあり方ばかりが目立っていましたから。

今回で戦旗第一期を完結として、意向としては第二期をやるつもりではあるようです。それがやるやる詐欺ではない事を示すためでもあるのか、SFマガジンには星界の断章最新短編も収録。毎回猛烈に間が空くのは待つ方も辛いので、再開したからにはコンスタントに続きが出て欲しいものですね。
一応期待はしています。

取り返せぬ犠牲、生まれる新たな夢

3月 16th, 2013 No Comments »

■円環少女(9) 公館陥落/長谷 敏司
http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=200712000337

前巻の幻影城戦から間髪入れず起きた大騒動の舞台は、4~6巻の地下戦争編でも登場した武蔵野迷宮。そう、前巻に続きまたしても “過去と同じ舞台での問い直し” なのであります。
思えば、地下戦争編はテロリスト国城田を食い止めるのが話の本筋だったので、一発しか存在しないと思わせて複数個存在していた核爆弾について “真の黒幕が誰で目的が何なのか” までには触れていなかったんですよね。構成人員の入れ替わりが激しい公館サイドで本質に斬り込む事が出来るとしたら、確かに(古くから専任係官を勤め続けた)東郷先生しかいなかった。情勢を窺い正に今しかないというタイミングで東郷先生のとった行動と判断と死に様は、手に持つ刀のように真っ直ぐでブレがなく。全編ひたすらに東郷先生が格好いいエピソードだったと思います。

東郷先生ばかりが見どころではありません。師弟対決となった時に仁が手していた武器は、魔法消去を受けると剣に “変化する” 神人遺物。都合の良いように形を変える者とそうでない者の対比も鮮やかだったと思います。そして生き残ったのは “変える者” だった。
かくして古き時代は節目を迎え、仁は新たな時代へと具体的に動き始めます。魔法使いが共に生きていける時代へ、信じる事を選ぶ道へ。

で、核爆弾の真相はどうだったかというとこれもまたとんでもねー事になっていてですね。ファンタジーらしからぬ展開にウチは大満足でしたけど、やっぱりこれで終わりじゃないですよね。今回やった事って、地下戦争編で核爆弾の被害を地上に出させなかったのと規模が違うだけで全く同じだもん。必ずまた核の脅威が巡って来て問い直されるであろう気が凄いする。
先がますます気になるので、残り4冊も早急に読んでいきたいところです。

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話は変わって、SF作家絡みということでもうひとつ。
只今ファミリーマートが3回目の初音ミクキャンペーンを実施中ですが、それに便乗する形で「南極点のピアピア動画」が、コンビニで売られるというなかなか愉快な展開があったりしました。

■ファミマ一部店舗で「南極点のピアピア動画」販売開始
http://ch.nicovideo.jp/nojiri_h/blomaga/ar145495


左が初刷、右がファミマで売っている6刷。
「何この初音ミクみたいなやつ」と思われるのであれば、とりあえず読んで下さい。話の内容がまんまニコ動とボーカロイドを取り扱っているんです。そんなですから本家ミクに絡めて何か面白い事すればいいのになーと冗談で思ってたら、本当にやってくれたよ。思いの外アグレッシブだった。
次はミクライブに便乗とかどうですか、ハヤカワさん。